# 宜興紫砂（ぎこうしさ） (宜興, yíxīng)

宜興紫砂（宜興、紫砂）は江蘇省宜興市で採れる多孔質の陶土で、何世紀にもわたり工夫茶用の茶壺が作られてきました。茶壺は「呼吸」し、茶の油分を蓄え、時とともに味わいを豊かにしていきます。

宜興は上海の西にある小さな都市で、その名は中国最高の茶陶の代名詞となりました。この地の陶土は紫砂（しさ）、「紫の砂」と呼ばれますが、色調は実に多彩です。赤い朱泥からベージュの段泥まで。宜興茶壺の伝統は、茶葉を淹れる文化とともに明代に花開き、以来途切れることなく続いています。

紫砂の最大の特性は微細な多孔性です。茶壺の壁が茶の芳香成分を吸収し、年月とともに器は「記憶」を蓄えます。古い茶壺に湯だけを注いでも、ほのかな茶の香りが立つほどです。ここから「一壺一茶」の原則が生まれました。大紅袍も水仙も熟プーアルも見境なく淹れる茶壺は、匂いのごった煮になってしまいます。多孔質の土は角も丸めてくれます。強く焙煎された烏龍茶の硬さを和らげ、プーアル茶をまろやかに整えるのです。

実践では、宜興が適する場面とそうでない場面を見極めることが大切です。香り高く繊細な茶——緑茶、軽やかな烏龍茶、白茶——は、中立な磁器の蓋碗のほうが誠実に表現してくれます。陶土は高音域の香りを「食べて」しまうからです。一方、武夷岩茶や熟成プーアルは、相性の良い茶壺でこそ深く響きます。そして市場の安価な「宜興」には要注意。本物の紫砂は二束三文では手に入らず、着色した偽物はそもそも呼吸をしません。

Source: https://www.dao-cha.info/ja/glossary/yixing